- 概要 -
中国四川省が発祥の「麻婆豆腐」は、1952年に陳健民氏が日本へ持ち込み、その後日本風にアレンジして広めた、ひき肉と豆腐がメイン食材の料理で、粒のままの花椒や胡椒を多めに使うことで痺れるような辛さが美味な料理のことである。一方、「麻婆茄子」は、名前からすると麻婆豆腐の派生料理のようだが、実際には日本で作られたアレンジ料理である。麻婆豆腐の豆板醤や胡椒を抜き、豆腐と茄子を入れ替えて調理したもので、人参やピーマンを串切りにして加えることもある。
- 詳しい解説 -
「麻婆豆腐(マーボードウフ)」は、ひき肉と赤唐辛子、粒状の花椒、豆板醤、豆鼓などを炒め、鶏がらスープを加えて豆腐を煮たせた、中華料理の中でも一般的に辛いといわれる四川料理のひとつである。その中でも「麻婆豆腐」は、大量に加えた胡椒の痺れるような辛さがインパクトの料理である。
発祥は四川省の成都で、夫亡き後、生計を立てるために料理屋を開いていた痘痕(あばた)のあった女性が作ったものに由来し、日本へは1952年に陳健民氏が持ち込み、日本風にアレンジして広く知られるようになった。中国では痘痕を「麻」と書き、「婆」は身持ちの固い女性を表している。つまり、「麻婆豆腐」とは、身持ちの固い痘痕のある女性が作った豆腐料理という意味である。
一方、「麻婆茄子」は、日本で麻婆豆腐と同じような味付けで、豆腐の代わりに茄子を使って作られ始めたアレンジ料理である。強いていえば、四川料理の「魚香茄子」という唐辛子とフナを塩漬けにした辛みとニンニク、生姜、酢、砂糖などで味付けした、魚の旨みを味わう料理に似ているが、味は全く違うものである。