- 概要 -
「団扇」も「扇子」も一般的には手で扇いで風を起こし、涼をとることが目的である。「団扇」の起源は中国で、日本には飛鳥時代に渡来し、虫を払うほか、高貴な人物が顔を隠したり、悪い気を祓うまじないとして所持するのが目的であった。多くが円形で、折りたためない。一方、「扇子」は平安時代の日本で、文字を書いた木簡を紐でまとめた檜扇が作られたのが起源とされる。日舞などの芸事や、お茶など、日本の文化に必需品であり、折りたためるのが大きな特徴である。
- 詳しい解説 -
現在における「団扇(うちわ)」と「扇子(せんす)」は、どちらも主に、手で扇いで風を起こし、涼をとることが目的である。しかしながら、道具の起源や形状に違いがある。
「団扇」の起源は中国であり、殺生のできないお坊さんの虫を払う道具として、もしくは儀式に用いる器具として発展したとされ、日本には飛鳥時代に渡来したとされる。当時は、虫を払う用途のほか、高貴な人物が顔を隠すのに用いたり、悪い気を祓うまじないとして所持されていた。「団扇」の語源は、‘虫を打つ羽’が‘打ち羽’となり、「うちわ」と転訛したとされる。なお、「団扇」は円形が多く、折りたためないのが特徴である。
「扇子」の起源は平安時代の日本であり、文章の記入に用いられていた木簡(木の板)を持ち運びやすくするために、数枚の片端を紐でまとめた‘檜扇(ひおうぎ)’がはじまりとされ、主に男性が用いた。後に、絵が描かれて装飾品のひとつとして女性も使用するようになり、さらに骨組みの片面に紙を貼った‘蝙蝠扇’が作られ、現在のような形になった。「扇子」は折りたためるのが特徴であり、日舞などの芸事やお茶など、日本の芸文化において必需品でもある。