不正利得と不当利得の違い・意味

不正利得と不当利得の違いとは

不正利得と不当利得の違い

- 概要 -

「不正利得」とは、労働災害補償保険法や国民年金法、厚生年金保険法、児童手当法、雇用保険法、健康保険法、国民健康保険法により定められており、不正に受給された給付については、不正受給した者に対し、返還もしくは徴収を求めることができるということをいう。一方、「不当利益」とは、法律上の理由以外で正当な理由なく、他人の財産や労務の利益を受け取り、そのために相手に何らかの損失を与えた場合には、損失を受けたものは利益を受け取った者に対し、返還請求ができることをいう。

- 詳しい解説 -

「不正利得」とは保険制度における語で、不正に受給された給付については返還もしくは徴収を求めることができるものである。一方、「不当利得」とは、他人の財産または労務による利益を、法律上の原因以外に、正当な理由なく受け取ることで相手に損失を与えた際に、相手はその利益の返還請求ができることである。例えば、土地及び建物に不法占拠して居住された場合には、適正な使用賃料を返還請求できるなどのことをいう。

「不正利益」は大きく2つに分けられ、‘不正の手段’により給付を受けたことに対し、返還もしくは徴収を求めることができるのは、労働者災害補償保険法(第12条3項)、国民年金法(第23条)、厚生年金保険法(第40条2項)、児童手当法(第14条)によるものが該当し、‘不正の行為’に対するものは、雇用保険法(第10条4項)、健康保険法(第58条)、国民健康保険法(第65条)に該当するものである。なお、労働者災害補償保険法や雇用保険法、健康保険法に当たる不正については、不正には事業主の証明等が必要であることから、事業主が虚偽をしたため不正受給となった場合には、事業主にも連帯して責任を負わせることができる。