- 概要 -
「剣術」とは、一般的には日本で古くより行われてきた、居合や薙刀、槍術等とともに‘古武道’のひとつを指す。護身術として生まれたため、相手を斬るために真剣の日本刀を用い、攻撃する部位に限りがないのが特徴で、そのために最盛期には700以上あった流派は廃刀令や武士階級の廃止と共に格段に減った。一方、「剣道」は「剣術」がもとになった武士道精神に基づく‘武道’である。江戸中期頃に普及したとされ、現在ではスポーツのひとつとしても広く周知されている。
- 詳しい解説 -
「剣術」には日本を起源とするもの、西洋で生まれた西洋剣術、中国を起源とする中国剣があり、日本の剣術は、柔術、居合や抜刀術、槍、棒、薙刀、空手や体術、砲術、琉球古武術などとともに‘古武道’のひとつに数えられる。
平安末期から鎌倉・室町時代にかけて、護身術として生まれた、真剣の日本刀を用いた闘争術であり、江戸末期、幕末の最盛期には各藩秘伝の御留流を中心に、700以上の流派があったとされる。その後、廃刀令や武士階級の廃止により、流派は格段に減り、歴史と伝統に支えられ、技と心を今日に伝えるものである。
「剣道」とは、「剣術」をもとにした武道である。江戸中期に剣道具が作られたことが発祥とされ、道場での竹刀による稽古が普及・定着し、大正初期に、撃剣・剣術は武士の精神に基づく‘武道’であるという意味で「剣道」に改まった。現在では、「剣道」はスポーツのひとつでもある。
「剣術」と「剣道」の違いは、「剣術」は日本刀で相手を斬るための技術であることから攻撃する部位に限りはなく、「剣道」は武士道精神のもと、竹刀によるスポーツとしての趣をもつ武術で、防具をした箇所または限られた面、小手、胴のみしか攻撃が許されない。