酵母と乳酸菌の違い・意味

酵母と乳酸菌の違いとは

酵母と乳酸菌の違い

- 概要 -

「酵母」も「乳酸菌」も身近な菌類のひとつであり、人間の体内においては特に腸内環境を整える働きをしていることに違いはない。大きな違いは、「酵母」は真核生物であり、「乳酸菌」は原核生物であること、また、「酵母」は、糖をアルコールと炭酸ガスに分解することで増殖のためのエネルギーを製造するのに対し、「乳酸菌」は糖を乳酸に分解することで増殖のためのエネルギーとする点が異なる。

- 詳しい解説 -

「酵母(こうぼ)」とは、細胞の中に核をもつ真核生物であり、直径が5〜10ミクロンと非常に小さい菌類の一種である。その主な働きは、有機物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解することである。この作用を発酵といい、身近な食品としては、例えば、ビール酵母が分解したアルコールでビールを作ったり、パン酵母が分解するときに発生させた炭酸ガスでパン生地を膨らませたりするなどが挙げられる。

また、体内の小腸(栄養の消化・吸収を行う)と大腸(不要物から水分を吸収し、排泄へ向かわせる)で働き、体内に摂取しすぎた糖分の吸収を抑えたり、善玉菌として悪玉菌とのバランスを整えることで腸内環境を整える働きをもつ。

「乳酸菌(にゅうさんきん)」とは、「酵母」とは反対に細胞の中に核をもたない原核生物であり、その主な働きは、糖から乳酸を生成することである。身近な食品としては、例えば、乳を発酵させてヨーグルトやチーズ等を製造する動物性乳酸菌と、野菜や大豆を発酵させて漬物や味噌、醤油にする植物性乳酸菌が挙げられる。

また、体内の主に大腸の中に存在する善玉菌のひとつが「乳酸菌」である。腸内で増殖しながら糖を分解して乳酸を分泌させ、弱酸性の腸内環境にすることで悪玉菌の増殖を防ぐ役目をもつ。

つまり、どちらも腸内環境を整える働きをする菌類であることに違いはないが、糖を分解して生成される物質が異なっている。