- 概要 -
インド原産の「胡椒」から採取した果実は、‘黒胡椒’や‘白胡椒’として発酵や天日干しされて、パスタや肉料理、マリネやホワイトソースなど、主に西洋料理に用いられる香辛料となる。一方、日本で古くから用いられてきた、日本や朝鮮半島南部が原産の「山椒」から採取した未熟なうちの果実は、青山椒として鰻や七味、つくだ煮など、主に和食に用いられる香辛料となる。
- 詳しい解説 -
「胡椒(こしょう)」とは、インドが原産地の、コショウ科の半つる性植物である‘胡椒’から採れる果実が原料の香辛料である。香りのある小さな花を房状に付けて咲かせ、花後には3mmから6mm程度の果実を実らせる。収穫時期と加工方法により、食べたときに辛みや香りの強い‘黒胡椒’と、ほどよい風味の‘白胡椒’が作られる。‘黒胡椒’は未成熟の果実を収穫して発酵させて天日干しにしたもので、表面の皮が黒褐色で縮んだ状態になり、‘白胡椒’は成熟した赤色の果実を水に漬け果皮を取り除き、その後、天日干しにする。種子のみ使用するので白っぽくなるのが特徴である。
「山椒(さんしょう)とは、日本や朝鮮半島南部が原産地の、ミカン科の低木で雄株と雌株に分かれている。このうち、花後に雌株に約5mm程度の果実が付き、一般的に未熟な青い果実(青山椒)をつくだ煮などに利用する。完熟すると赤い果実になり、さらに放っておくと赤い果皮が割れて黒色の種子が弾けて美しい。雄株の黄色の花は花山椒として使用される。
どちらも果実を香辛料として用いるが、風味が全く異なるため、使用される料理ごとに選ぶ必要がある。