軍手と手袋の違い・意味

軍手と手袋の違いとは

軍手と手袋の違い

- 概要 -

「軍手」とは、旧日本陸海軍兵士が作業に用いていたことから‘軍用手袋’と呼ばれたものを略したもので、手を覆う被服である「手袋」の一種といえる。綿繊維を用いたものが一般的で、作業のしやすさを一番に考えて作られた五本指の「手袋」である。一方、「手袋」の発祥はエジプト文明時代に遡り、防寒対策としてや、宝石で装飾したりシルク製であったりと、ファッションの一部であるものをいう。親指とその他四本の指が分かれているだけの「手袋」のことは‘ミトン’と呼ばれる。

- 詳しい解説 -

「手袋」は、壁画に描かれていること、ピラミッドから発掘されていることから、その発祥は古くエジプト文明頃とされ、歴代の王たちが名声の証として用いていたといわれている。12世紀から13世紀になると、西洋においてシルク製やリネン製のもの、宝石等で装飾を施したりと、女性たちの身だしなみのひとつとしてファッション性に富んだものへと変化し、日本へは16世紀中頃、ポルトガルより渡来したとされる。現代においても「手袋」とは、手または手から肘までを覆う、防寒対策やファッションの1アイテムとして用いられている。

一方、「軍手」とは、正式には‘軍用手袋’といい、江戸時代末期、鉄砲が錆びないよう装着して扱ったことが発祥とされ、その後も旧陸海軍の兵士が専ら用いたことから名付けられた。現代では安価に仕上げることのできるポリエステルなどの合繊を用いたものも多く流通するが、純綿や混紡糸を用い、糸の本数や編み目等を変えることで柔軟性や伸縮性に耐久性、耐火性に富む、特に作業のしやすさを目的とした「手袋」のことである。第一次世界大戦でそれまでの手袋産業の主要国であったイギリスとドイツが交戦国になったことから、第二次世界大戦前には日本からの輸出が盛んであった歴史をもつ。

つまり、一般的に「軍手」は作業用の「手袋」のことを指し、単に「手袋」とした場合には防寒対策を併せ持つファッション性の高い、手を覆う被服のことを指す。